基礎科目・数学
数値解析の誤差と精度
8問H24・H26・H27・H29・R1再・R2・R4・R5
桁落ち・情報落ち・丸め誤差などの意味と、数値解析の精度を上げる方法・下げる方法を見分ける文章問題です。
よく出る形
- 「数値解析の誤差について,最も適切(不適切)なものはどれか」と,誤差の種類の説明を見分ける
- 「数値解析の精度を向上する方法として,最も不適切なものはどれか」(令和4年度と令和元年度再試験は同じ選択肢)
- 有限要素法の要素分割の細かさと結果の関係を問う形(平成24・29年度)
- ふつうの記述(桁落ちと情報落ちの説明など)の中に,1か所だけ入れかえた誤りの文が1本まざる。同じ選択肢がくり返し出ることもある
覚えること
- 丸め誤差:コンピュータが決まった桁数でしか数を持てないために出る誤差。単精度(約7桁)から倍精度(約16桁)にすると小さくなる
- 桁落ち:ほとんど同じ大きさの2数の引き算で,意味のある桁(有効桁)が減ること
- 情報落ち:大きさが極端に違う2数の足し算で,小さい方が消えてしまうこと
- 離散化誤差(打切り誤差):細かいマス目や要素に分けて近似するための誤差。格子幅や要素,時間刻みΔtを小さくすると小さくなる
- モデル化誤差:非線形の現象を線形の式で近似するなど,式に置きかえたこと自体のずれ。解き方が厳密でも,桁数を増やしても消えない
- 数学的に同じ式でも,計算の順番や形で結果が変わることがある
- 連立方程式は,逆行列を作らなくても(ガウスの消去法など)解ける
- 同じ符号の数を多く足す時は,小さい数から順に足すと情報落ちを減らせることが多い
- 反復計算の収束判定のしきい値ε:大きくすると早く止まるが,答えは粗くなる(精度は下がる)
- √A − √B の桁落ちは,√A + √B をかけて引き算を消すと避けられる:√(x2 + 1) − x = 1/(√(x2 + 1) + x)
- 有限要素法:応力が集中する所など変化の大きい所を細かく分け,要素の形は整える。ゆがんだ要素は誤差の原因
解き方
- 選択肢を「精度が上がる側」と「下がる側」に分ける
- 上がる側のことば:細かく分割,高次要素,倍精度,ゆがみの少ない要素,変化の大きい所を細かく
- 下がる側のことば:収束判定条件の緩和,粗く,誤差は減らない,格子幅によらず一定
- 「不適切」を選ぶ問題なら,下がる側の1つが答え
- 例:「反復回数が多いので,収束判定条件を緩和した」は,早く止まるだけで精度は下がるので不適切(令和4年度・令和元年度再試験)
- 桁落ちの例:1.2345678 − 1.2345601 = 0.0000077 では,8桁あった有効数字が2桁に減る
ひっかけ
- 桁落ちと情報落ちの説明を入れかえない(近い数の引き算は桁落ち,大きさが極端に違う数の足し算は情報落ち)
- 「要素分割を細かくすると近似誤差は大きくなる」は逆。小さくなる
- 「アルゴリズムを改良しても誤差は減らない」は誤り。減らせる
- 「数学的に等価な式なら,どれで計算しても結果は等しい」は誤り。等しいとは限らない
- 収束判定のしきい値を大きくして精度が上がる,としない(早く止まるだけ)
このテーマの過去問(このサイトに解説がある 4問)
- 令和5年度数値解析の誤差基礎科目 I-3-3解説を読む
- 令和4年度数値解析の精度向上基礎科目 I-3-3解説を読む
- 令和2年度数値解析の誤差基礎科目 I-3-3解説を読む
- 令和元年度(再試験)数値解析の精度向上基礎科目 I-3-3解説を読む
平成に出た同じテーマ(4問)
このサイトにはまだ解説がありません。年度と題だけです。
- 平成29年度有限要素法の要素分割
- 平成27年度数値解析の誤差
- 平成26年度数値解析の精度向上
- 平成24年度有限要素法の要素分割