数値解析の誤差と精度 想定問題 3
x(>0)が非常に大きいとき,y=√(x2+1)-x をこの形のまま計算機で計算すると,桁落ちが起こって精度が悪くなる。yと数学的に等しく,しかも桁落ちを避けられる式として,最も適切なものはどれか。
解説
ポイント
桁落ちが起きる引き算を,式の変形で避ける方法を問う問題です。
考え方と解き方
x が大きいと √(x2 + 1) は x にとても近く,引き算で桁落ちが起こります。√A − √B の形には √A + √B をかけて,引き算を消します。
- y = (√(x2 + 1) − x) × (√(x2 + 1) + x) ÷ (√(x2 + 1) + x) と変形する
- 分子は (x2 + 1) − x2 = 1 なので,y = 1/(√(x2 + 1) + x)。分母は足し算で,桁落ちは起きない
- 数の例(有効数字8桁):x = 10000 で,もとの式は √(x2 + 1) が 10000.000 に丸まり y = 0
- 変形した式は 1/(10000.000 + 10000) = 5.0 × 10−5 で,真の値(約4.9999999875 × 10−5)に近い。答えは ③
ほかの選択肢
①:y と数学的に等しい式ですが,√(1 + 1/x2) が1にとても近く,1との引き算で同じように桁落ちが起こります。
②:分母が引き算のままで,値は y の逆数なので y と等しくありません。
④(1/(2x)):x が大きい時の近似値で,y とぴったり等しい式ではありません。
⑤:分子に引き算が残り,値も y と等しくありません。
覚えておくこと
- √A − √B の桁落ちは,√A + √B をかけて引き算を消すと避けられる:√(x2 + 1) − x = 1/(√(x2 + 1) + x)(テキスト・覚えること)
- 数学的に同じ式でも,計算の順番や形で結果が変わることがある(テキスト・覚えること)
- 桁落ち:ほとんど同じ大きさの2数の引き算で,意味のある桁(有効桁)が減ること(テキスト・覚えること)
類似する過去問:令和5年度 基礎科目 I-3-3、令和2年度 基礎科目 I-3-3
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