適性科目・知的財産
営業秘密と漏えい対策
5問H30・R1・R2・R3・R5
不正競争防止法の営業秘密の3要件と、秘密情報の漏えいを防ぐ対策が適切かを問う問題です。
よく出る形
- ある情報が営業秘密として保護されるかどうかの記述の正誤(3要件に当てはめる)
- 漏えい対策の例のうち,不適切なものを選ぶ
- 毎回,同じ3要件や漏えい対策の考え方を,当てはめる例を変えて問う
覚えること
- 営業秘密の3要件(不正競争防止法第2条第6項):秘密管理性,有用性,非公知性。3つ全部を満たす必要がある
- 秘密管理性:秘密として管理されていること。「秘」の表示やアクセス制限などで,従業員が秘密と認識できる状態にする
- 有用性:事業活動に役立つ技術上・営業上の情報(製造方法,顧客名簿,販売マニュアルなど)。うまくいかなかった実験の結果も,同じ失敗を避けられるので有用性がある
- 脱税,有害物質の垂れ流し,検査データの改ざんの記録のような反社会的な情報は,有用性がなく,営業秘密ではない
- 非公知性:公然と知られていないこと。刊行物に載った情報や,特許として公開(出願公開を含む)された情報は,非公知性がない
- 漏えい対策の5つの目的(経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」):A 近づけない,B 持ち出せない,C 見つかりやすい環境をつくる,D 秘密情報と思わなかったと言わせない,E 信頼関係を保つ
- 近づけない:アクセス権の制限,保管場所の施錠,ペーパーレス。持ち出せない:暗号化,コピー・印刷や外部への書込み・アップロードの制限
- 見つかりやすい環境:人の目,死角をなくす,防犯カメラ・入退室の記録(従業員に知らせる)。思わなかったと言わせない:「秘」「社外秘」の表示,ルールの周知
- 信頼関係を保つ:公平な評価,働きやすい職場づくりなどで,漏らそうと思わせない
- 民事:差止め(侵害の停止・予防,第3条)と損害賠償(第4条)の両方を請求できる
- 刑事:営業秘密侵害罪は,10年以下の拘禁刑若しくは2000万円以下の罰金,又はその両方(第21条第1項)。日本国外で使う目的は,罰金の上限が3000万円(第21条第4項)
- 営業秘密侵害罪は親告罪ではなく,告訴がなくても公訴を提起できる。告訴が要るのは,秘密保持命令違反の罪だけ(第21条第7項)
- 秘密保持契約を結ばずに相手に見せても,直ちには秘密管理性は失われない(経済産業省「営業秘密管理指針」)
- 2025年6月施行の刑法等の改正で,「懲役」は「拘禁刑」になった
解き方
- 営業秘密の問題は,3要件のどれが欠けているかを確かめる
- 対策の問題は,その対策が5つの目的のどれに当たるかを考える。どれにも当たらなければ,適切とは言えない
- 民事(請求)と刑事(罰)を分け,「必ず」「直ちに」「できない」のような言い切りに注意する
ひっかけ
- 「3要件のどれか1つに当てはまればよい」→ ×(3つ全部)
- 「秘密情報の作業は複数人を避け,単独作業で」→ ×。一人きりや死角は漏えいのもと
- 失敗した実験のデータは,有用性がないのではなく,有用性がある
- 営業秘密侵害罪は親告罪ではない(告訴がなくても起訴できる)
- 海外で使う目的の罰金は,軽くなるのではなく重くなる
このテーマの過去問(このサイトに解説がある 4問)
- 令和5年度秘密情報の漏えい対策適性科目 II-2解説を読む
- 令和3年度営業秘密の要件適性科目 II-7解説を読む
- 令和2年度営業秘密(不正競争防止法)適性科目 II-4解説を読む
- 令和元年度情報漏洩対策適性科目 II-9解説を読む
平成に出た同じテーマ(1問)
このサイトにはまだ解説がありません。年度と題だけです。
- 平成30年度営業秘密と情報漏洩