著作権と引用 想定問題 2
著作権法第30条の4は,著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には,その必要と認められる限度において,著作物を利用することができると定めている。この規定によって著作権者の許諾を得ずに利用できる例として,最も不適切なものはどれか。
解説
ポイント
第30条の4(作品を味わうためではない利用)に当てはまらない例を,1つ選ぶ問題です。
考え方と解き方
「享受」とは,作品を見たり聞いたり読んだりして味わうことです。その利用で,だれかが作品そのものを味わうかを見ます。
- ①:録音機器の性能の試験は,技術の開発や実用化のための試験です。許可なく利用できます
- ②:作品の表現をそのまま出力させ,出力を鑑賞用の画集として販売します。味わわせる目的が一緒にあるので,許可なくは使えません
- ③:言葉の頻度や傾向の分析は,大量の情報の解析です。許可なく利用できます
- ④:人工知能の学習用データセットの作成は,情報解析のための利用です。許可なく利用できます
- ⑤:プログラムの欠陥を調べるための解析は,作品を楽しむためではなく,中身を調べるための利用です。許可なく利用できます
- 当てはまらないのは ② だけ。答えは ②(表現をそのまま出力させ,鑑賞用に販売する例)
ほかの選択肢
④(人工知能の学習用データ):人工知能の学習でも,情報解析のためなら対象になります。②との違いは,表現をそのまま出して味わわせる目的があるかどうかです。
覚えておくこと
- 第30条の4:作品を味わう(享受する)ためではない利用は,必要な限度で許可なくできる(テキスト・覚えること)
- 第30条の4の例:試験的な複製(カメラ・プリンター開発),3DCG作成,情報解析(人工知能の学習用データ,全文検索の結果表示,表記の変遷の研究),リバース・エンジニアリング(テキスト・覚えること)
- 味わう目的が一緒にある場合や,著作権者の利益を不当に害する場合は対象外。作品の表現をそのまま出力させる目的の追加学習も対象外(テキスト・覚えること)
- 「人工知能の学習用データの複製は必ず許諾が必要」ではない。ただし,作品の表現をそのまま出して楽しませる目的があれば対象外(テキスト・ひっかけ)
類似する過去問:令和元年度(再試験) 適性科目 II-9、令和6年度 適性科目 II-3
テキスト「著作権と引用」を読む